海上自衛隊のLCACと輸送艦の訓練に同行した。

海上自衛隊-LCAC

取材協力 海上自衛隊 第一輸送隊
取材者 西澤丞

はじめに

このウェブサイトでは、航空自衛隊、陸上自衛隊と取材をしてきたので、海上自衛隊も取材したいと思い、以前から興味のあったLCACと、それを搭載する輸送艦の訓練に同行させてもらうことにした。内容は、静岡県沼津市でLCACのビーチング訓練を取材し、その後、輸送艦「しもきた」に乗艦、宿泊し、神奈川県の横須賀港まで移動。横須賀港で車両や燃料の搭載を取材する1泊2日の行程だ。なお、LCACとは、戦車やトラックなどを浜辺などに上陸させるためのホバークラフトで、「エルキャック」と読む。

取材1日目

ビーチング訓練に設定された日は、台風が接近すると予想されていたため、実施されるかどうか、直前までわからなかった。この機会を逃せば次がないと思ってドキドキしていたところ、朝6時になって実行する旨の連絡をいただいた。

海岸に着いてしばらく経った朝8時すぎ、霧の中からぼんやりとLCACが現れた。

ビーチング訓練中のLCAC
上陸するLCAC

ビーチング訓練は、1回きりではなく、何度か繰り返される。パイロットの中には、傾斜が強いこの浜辺に不慣れな人もいて、勢いが足らずにそのままUターンしてしまうシーンも何度か見られた。LCACは艇尾部が波にさらされると破損の危険があるので、波打ち際から離れた場所まで上陸しなければいけない。しかし、勢いが足りないと、そこまで上陸できないので、一度引き返してやり直さなければならないのだ。

LCACの側面-(プロペラ付近)

この日は、2隻のLCACを使い、ベテランから初心者まで、6名のパイロットが訓練をしていた。次のレベルに昇進するための検定を受けるチームは、教官が機器の不具合を設定し、それへの対応力を試される。ずっと沖に出たまま動かなくなっている時間もあったので、きっとハードな設定をされたのであろう。また、到達時間の正確さも問われるので、そちらも厳密に判定されていた。

海岸から発進するLCAC
撮影中の写真家

撮影に関してもちょっとだけ触れておこう。予想をしていたことではあるが、ホバークラフトの後方からは、海水や砂、場合によっては小石や木の枝などが飛んでくる。機材は、ビニールで覆っているので無事だったが、砂まみれになってしまって、撮影しにくいったらありゃしない。レンズやバッテリーの交換ができないのも辛かった。

輸送艦「しもきた」
輸送艦「しもきた」

昼近く。「しもきた」に戻るLCACに同乗させてもらい、「しもきた」の外観を撮影した。「しもきた」は、3隻ある「おおすみ」型輸送艦の1隻で、島しょ部に車両や人員を運び込むことを想定している。輸送艦は、災害派遣でも活躍していて、東日本大震災や熊本地震の際に物資の運搬を行っている。最近では、「おおすみ」が能登半島地震の際にLCACを使って建設用重機を搬入する様子がニュースとなっていた。

ビーチング訓練中のLCAC-2隻

LCACについても簡単に説明をしておこう。LCACは、4基のガスタービンエンジンを使って1万6600馬力を発生させ、時速90キロくらいで巡航できる。エンジンは、左右の2基ずつがペアになっていて、推進用のプロペラとバウスラスター、浮上用の空気の送り込みを担っている。また、ペアとなっている2基のうち1基が止まっても運航できるようになっている。搭載できる積荷は、50トン。大型トラックであれば約3台。戦車であれば、1両となる計算だ。積荷の重量バランスは、とても大事なので、搭載前にロードマスターと呼ばれる担当者が計算をし、微調整は、機体の四隅にある燃料タンク内の燃料の配分を変えて行う。日本は、このLCACを6隻保有している。

LCACのバウスラスター
機体の上部にある煙突のようなものは、推進装置のひとつでバウスラスターと呼ばれている。向きを変えられるので、前に向ければブレーキの役目になるし、左右に向けて進路を微調整することもできる。

LCACパイロットへのインタビュー

さて、午後から撮影した写真をご覧いただきながら、パイロットさんへのインタビューを紹介しよう。インタビューに答えてくれたのは、森本2等海尉(46歳)LCACのクラフトマスター(パイロット)だ。

今日のスケジュールは?
「今日は、朝5時に起き、5時30分にこの海域に着きましたので、波の高さなどを確認しました。その後、7時からは、ブリーフィングで気象や機材の状態などを把握し、訓練が実行出来るかどうか、最終的な確認をしました。7時20分からは、LCAC上でクルーとブリーフィングをし、スケジュールの変更点や前回あった機材の不具合など、細かな情報を共有します。7時40分から発進の準備をし、8時に発進します。ビーチまでの所要時間は約10分です。そこからビーチング訓練や管制官の役割などを交代で行い、17時まで訓練です。その後は、21時まで休憩を取り、夜間訓練に行っていたLCACが戻って来てから洗浄や燃料搭載、運行後点検をし、23時頃には終了する見積もりです。故障があった場合は、修理に立ち合います。」

LCACのクルー
デッキ上のエンジニア(左)とロードマスター(右)が、発進前の点検を行っている様子。

LCACの訓練がない時のスケジュールは?
「訓練がない時は、訓練の準備や事務作業をしています。朝6時に起きて、7時から仕事を始めます。この時は、仕事の状況にもよりますが、11時から13時まで長めの休憩を取ることもあります。その後は、陸上の部隊が17時までですので、それに合わせて仕事をします。陸上の場合は、家に帰るんですけど、ここは艦の上ですので、休憩しながらですけど、翌日の仕事を早め進めることもありますね。出港している時は、ずっと仕事中ですので。」

陸上と海で仕事をしている時の比率は?
「その時の状況にもよるので一概には言えません。陸にいる時は、何か特別なことがなければ8時〜17時の勤務です。」

陸と海、どっちが好き?
「私の場合は、ちょっと変わってるって言われるかもしれませんが、艦艇に乗っているのは苦ではないんです。色々な寄港地に寄れるのも楽しいですから。陸上勤務では、毎日の通勤が苦手なんです。」

積載するトラックの運転手さんたちが乗るのは、この部屋。
艇の左側にある監視窓に通じる場所。監視窓のある空間は、カメラを構える余裕が無いくらい狭かった。

どんな経緯でLCACのパイロットに?
「高校を卒業してから最初に配属されたのは、艦艇の運用の仕事でした。運用の仕事というのは、もやいロープや錨を扱うような、いかにも船乗りといった仕事です。その後、アメリカで半年ほど訓練を受けてLCACのナビゲーターを7年くらいしていました。当時は、日本に教育機関がなかったんですね。その後、10年くらい運用の仕事をしてからLCACの訓練学校に行き、パイロットになりました。パイロットになってからは5年です。」

なぜ自衛隊に?
「もともと船が好きだったので、仕事の候補として、海上保安庁だったり、商船にも興味があったんですが、一番早く船乗りになれるのが自衛隊だったんです。当時、1年かからずに艦艇に乗れました。仕事の内容は全く分かってなかったんですけど、やりたかった運用の仕事に配属されたので、それも良かったのかもしれません。」

ビーチング訓練の様子を、LCACの中から撮影した写真
当日、取材に対応してくれた方もパイロットだったので、その方がビーチング訓練をする時に同乗し、上陸する様子を側面の窓から撮影した。

LCACの運転で難しいこととは?
「傾斜には、弱いですね。今日、ご覧になっていた時も、向きを変える時に横滑りのような形で向きを変えていた時があったと思いますが、どうしても低い方に勝手に行ってしまいます。また、コンクリートなどの平らな場所では、抵抗が無いので、ちょっとした操作や風の影響などが強く影響してしまいます。また、平らな場所というのは、水はけをよくするための水勾配がついていますので、浮上した時にどちらに動くのか瞬時に判断して、当て舵をしないといけません。このような場所では、その場に留まるのが一番難しいと感じます。」

パイロットにもランクがある?
「パイロットにもクルーにもAからCまでのランクがあります。Cは、学校を卒業したばかりの人ですね。そこから約1年間の訓練を行なって、検定を受けます。合格すれば、Bの資格になります。Cの資格ですと、荷物を乗せて運航する際には、B以上の資格を持っている人の監督のもとで実施しなければいけません。Bになれば、単独での運航ができるようになります。Aになる時も、Bの時と同様、訓練と検定が必要になります。AとBの違いは、夜間の検定が入ってきます。夜間の運転は、視野の狭い暗視ゴーグルをつけなければいけないので、とても難しくなります。」

LCACの後部

LCACの好きなところは?
「海の上も走れる。陸の上も走れる。母艦に収容できる。船なのに色々な場所に行けるところですかね。船なのに飛行機みたいな。」

ドキドキしたこととは?
「荒れている海で母艦に入ってくる時ですかね。自分が動いている時に相手も動いているので、うまく入れるかなって。ぶつけたことですか?ありますよ。ぶつけた時の衝撃を和らげるクラッシュボックスという部分があるんですけど、そこまでならば、みんなぶつけてると思います。」

輸送艦「しもきた」とLCAC

震災などでの対応は?
「今回の能登半島地震では、上陸できるところを探すところから始まって、最初は陸上自衛隊が持っている建設用の重機を運び、次に運んだのが電話のアンテナを設置するための車、その次が国土交通省の建設機械を運びました。」

どんなパイロットを目指す?
「今までは、自分のことで手一杯だったんですけど、5年やって来ましたので、これからは、技術を若いパイロットに伝えて、チーム全体の底上げをできたらいいなあと思っています。私は、Aの資格を持っていて指導もできますので、今までの経験なども踏まえて指導に活かせるんじゃないかと思っています。」

読者に伝えたいこととは?
「最初は、ざっくりとした目標でもいいと思います。色々なものを見ているうちに、だんだんやりたいことが見えてくると思いますから。自衛隊にも色々な仕事がありますので、就職先の候補に挙げてもらえればうれしいです。」

インタビューに答えてくれた森本さん。
LCACの運転席で発進準備をする森本さん。
輸送艦「しもきた」に着艦しようとするLCAC
「しもきた」への収容の様子。「しもきた」の後部にある格納庫を目指すのだが、横幅の隙間は40センチしかない。スッと収容させた森本さんのスキル、恐るべし。

取材の続き

森本さんの運転するLCACで「しもきた」へ乗艦し、艦内での食事となった。最初の食事は、一般の隊員さんの食堂ではなく士官室だった。メニューは、野菜多めで健康的。士官用だったから?また、宿泊用に用意してくださった部屋は、陸上自衛隊の幹部が宿泊する部屋。近くに浴室やトイレがあって便利だった。艦の中は、迷っちゃうからね。

食堂の様子。
士官室での夕食。
泊めてもらった部屋。
輸送艦「しもきた」から発進するLCAC
夜間訓練へと出発するLCAC。バックで出て行く。
LCACの管制室
LCACの管制室。民間人の入室は、まれのようだ。
夜間管制中のLCACの管制室
灯火管制中のLCAC管制室。写真に写せるギリギリの明るさだ。

食事の後は、夜間訓練を行うLCACの発進と収容に立ち合い、LCAC格納庫へ移動した。格納庫に入ると、すでに点検が始まっていて、エンジンや空気取り入れ口などを見せてもらえた。かなり貴重な写真だと思う。

LCACの点検
LCACの空気取り入れ口
空気の取り入れ口。浮上とバウスラスター用。
LCACのエンジン
4基あるガスタービンエンジンのひとつ。
輸送艦「しもきた」の車両積載甲板

LCACを洗浄する前に点呼があるというので、車両用甲板に行ってみたら、走っている人たちがいた。近々3キロ走の検定があるようだ。上の写真のように、「しもきた」の車両積載スペースはとても広く、この階には、LCAC格納庫もある。構造物としての強度をどうやって保っているのか、とても不思議。

LCAC洗浄前の点呼の様子
点呼には、雨具を着て集合だ。
LCAC洗浄の様子
洗浄の様子。
LCACの洗浄作業
ホースの扱い方ひとつを取ってみても、ベテランと新人さんとで違いがある。

1日目の取材は、洗浄の終了とともに終わった。時計を見れば、23時。みなさん、お疲れ様でした。この後、シャワーをお借りしたが、「しもきた」の浴室は、海水ではなく真水を使っているので、かなりさっぱりする。残念ながら、艦内での飲酒は不可だ。

取材二日目

朝5時に浦賀水道を通過するというので、4時半ごろに起床した。浦賀水道は、三浦半島(神奈川県)と房総半島(千葉県)に挟まれた海峡で、船が通れるのは、1.4キロほどの幅しかない。その狭い幅の中を、右側通行で航行する。目的地である横須賀港は、進行方向の左側にあるので、反対車線(?)を横切らなければならず、船と船の間を通り抜けるタイミングが難しいそうだ。

輸送艦「しもきた」の艦橋
2日目の最初のカット。
艦橋にあったコンパス。
輸送艦「しもきた」の艦橋(後部)
艦橋を後ろから見た様子。後ろには、ヘリコプター用の管制室がある。

横須賀港に着くまでには、時間があったので、医療関係の部屋や機関室を撮影させてもらうことにした。普段の訓練では、医師や歯科医師が乗艦することはないが、海外に行く時は医師が同行するそうだ。

輸送艦の手術室
手術室
輸送艦の集中治療室
集中治療室
輸送艦の歯科治療室
歯科治療室
輸送艦のエンジン制御室
エンジンや発電機の制御室。艦橋のそばにあって、空調の管理などもここで行われている。
輸送艦のエンジンルーム
機関室
輸送艦のエンジンルーム(点検の様子)
点検の様子
輸送艦のエンジンルーム(発電機)
発電機
輸送艦のエンジンルーム(海水を真水に変える装置)
海水を真水に変える装置

7時半ごろ。横須賀港が近くなってきて、艦内が慌ただしくなってきた。この辺りは、大型船が密集していることに加え、漁船やプレジャーボートのような小型の船もいるため、見張りは気を抜けない。小型の船が横切ってゆくのを見ていると、こっちもドキドキしてしまう。

横須賀港が見えるようになった頃、入れ違いで出港してゆく自衛隊の艦から信号用探照灯を使って通信が送られて来た。それに対して、「しもきた」では、司令や艦長が返信文を考え、同じように探照灯を使って返信していた。「アナログでしょ」と司令が笑っておられたが、情報を秘匿する意味でも確実性においても、アナログが最強なのだろう。

輸送艦「しもきた」の艦橋
画面中央にいるのが操舵手。
返信の内容を隊勤務員に伝える平井司令(右)
信号用探照灯で送られてきた挨拶文は、同じ方法で返信する。
司令は上部甲板に出て、停泊している艦に揚げられている司令官旗に敬礼する。
艦長は、艦の側面が見える場所に出て、操艦を行っていた。

8時過ぎ。いよいよ横須賀港に入港だ。「しもきた」から見て左側には、アメリカのイージス艦が何隻も並んでいて、突き当たりには、ヘリコプター搭載護衛艦の「いずも」が停泊していた。

「しもきた」乗組員へのインタビュー

さて、ここからは、松岡1等海曹(41歳)に、輸送艦での仕事について教えてもらおう。

仕事の内容は?
「運用科の運用員です。出入港の時に、もやいロープや錨を扱う仕事です。それ以外には、車両や物品の搭載、航空機の発着に関わる仕事、航海中の見張りなども行います。」

1日の仕事の流れは?
「今日の場合ですと、5時に起床し、6時から仕事です。入港の準備や車両搭載の準備、車両搭載が12時までです。13時からは、事務官やドライバーさんなど、乗艦する人たちの受け入れ準備をします。事務官というのは、防衛省の事務を司る防衛省職員たちで、研修として実際の現場を体験するために数日間乗艦します。車両の搭載などが終われば、16時45分が定時です。ただ、今日の入港は、8時以降でしたので、仕事の無い人は、いつでも上陸(仕事終了)できる日になっています。0時から8時までは働いたことになりますので。」

松岡さん
もやいロープをかけている様子。運用の仕事だ。

航海中は、どんな感じ?
「航海中は24時間勤務です。何かあれば、それに対応しますが、基本的には、3時間勤務したら6時間休憩で、それを繰り返します。土曜、日曜も仕事です。艦から降りた時は、その分の代休をもらいます。これは、もう、慣れしかないですね。輸送艦の訓練は、今回もそうですが、大体2、3週間です。海外での訓練もあって、今は「くにさき」が行ってるんですが、そういう訓練は、2、3ヶ月くらいです。」

能登半島地震での対応は?
「地震が起きた翌日の1月2日に呉を出港しました。年末年始の休暇中でしたので、ある程度の人数が集まった時点で出港です。3日の夕方に舞鶴に入港し、そこで車両を搭載し、20時ごろには出港したように記憶しています。4日には、現地付近に到着し、LCACが上陸できるところを探し始めました。海の上から双眼鏡で見ても、実際に上陸できるかどうかはわかりませんので、LCACで近くまで行って確認しました。」

車両を搭載する前には、固定用のワイヤーをかける場所をテープで記しておく。ロードマスターの仕事だ。
積荷の中に、LCACの風圧で飛んでしまうようなものがあれば、固定するように運転手に依頼する。これには、LCACパイロットも参加していた。

災害派遣で印象に残っていることとは?
「災害派遣とは異なりますが、トンガへの国際緊急援助活動が印象に残っています。コロナの時期でしたので、タイベック(頭まで覆う使い捨ての白いツナギ)を着たまま積み下ろしの作業をしていたので、ただでさえ暑い地域なのに、さらに暑くなってしまって大変でした。遠いですし、物資も大量ですし。」

輸送艦には、どんな仕事がある?
「大まかには、1から5までの分隊があって、私は1分隊で、荷物の積み下ろしなどの艦艇の運用作業に関わる仕事です。2分隊は、航海や通信などの艦艇の運航に関わる仕事です。3分隊は、エンジンや電機など、艦艇の機関に関わる仕事。4分隊は、艦艇の補給、経理、給養や衛生に関わる仕事。5分隊は、LCAC(護衛艦では航空機)の整備に関わる仕事ですね。それぞれの分隊の下に細かな仕事がたくさんあります。」

「しもきた」の好きなところとは?
「何も積んでなければ、運動がいっぱいできます。護衛艦ですと、走れる場所が上部甲板しかないので昼間しか走れないんですが、『しもきた』は夜でも走れます。保養室という筋トレのできる部屋もあります。ずっと座っている作業より、体を動かしている方が好きなので、ありがたいですね。」

輸送艦「しもきた」での車両搭載の様子
輸送艦内での誘導の様子。
輸送艦「しもきた」での車両搭載の様子。エレベーターで上部甲板へ。
エレベーターを使って上部甲板へ移動させている様子。

仕事は、好きですか?
「今となっては、好きか嫌いかよくわからないんですが、輸送艦の仕事はやりがいがあると思っています。また、運用の仕事は、覚えることはたくさんありますが、一度覚えてしまえば、どの艦でも通用しますので、いいと思います。」

なぜ、自衛隊に?
「人の役に立ちたいと思っていたのと、祖父が自衛官でしたし、剣道の先生も元自衛官で『自衛隊でも剣道出来るぞ。』って誘ってくれたからですかね。剣道は、今でも続けています。海上自衛隊を選んだのは、単純に家から近かったからです。」

読者に伝えたいこととは?
「みんな、がんばってます。事故や不祥事で取り上げられることが多いんですが、隊員は、みんな日本のためにがんばっていますので、それをわかってもらえたらいいかなと思います。」

朴訥な語り口の松岡さんの言葉を噛み締めつつ、14時ごろ、1泊2日の同行取材は、無事に終了した。

輸送艦の給油作業
燃料補給は、船から行われる。

おわりに

頭で分かっていることと、実際に体験することとは、全く異なるものだ。今回の取材では、その当たり前のことを実感した。また、取材期間中、いろいろな仕事を見せてもらったが、海上自衛隊の仕事のほんの一部だということも分かった。機会があれば、別の部隊も取材させていただくことにしよう。

写真と文 西澤丞 インタビューは、2024年5月と6月に行いました。

海上を航行中のLCAC